「が」と「は」の違いに悩む外国人が多いですが、これは日本人にとってもなかなかの難問。
このページでは、例文を見ながら「が」と「は」の違いについて考えていきましょう。
基本:名詞文と形容詞文には「は」、動詞文には「が」を使う
次の例文を見てみましょう。
田中さんは会社員だ。(名詞文)
田中さんは優しい。(形容詞文)
田中さんが起きた。(動詞文)
名詞文と形容詞文では「は」を使って田中さんを説明しているのに対して、
動詞文では「が」を使って田中さんの動作を表しています。
「が」は他のものを排除する役割を持つ
上の例で、今度は名詞文と形容詞文と「は」を「が」に変えてみましょう。
田中さんが会社員だ。
田中さんが優しい。
このように名詞文と形容詞文で「が」を使うと、佐藤さんや鈴木さんではなく、「田中さん」こそが、会社員である、また優しい人物である、といったように、他のものを排除して、その人を特定する働きがあります。
また、次の文はどうでしょうか。
彼女がこのクラスで一番頭が良い。
この例文でも、やはり他でもない「彼女」がクラスで一番であることを示しています。
「は」は比較の役割を持つ
では、先の例文で「が」を「は」に変えるとどうでしょうか。
田中さんは起きた。
こうすると、田中さんは起きたが、佐藤さんはまだ寝ている、といったように、なにかと比較している印象を与えます。
次の例文を見てみましょう。
そばはきらいだが、うどんはすきだ。
これは「そば」と「うどん」をくらべてうどんが好きであることを「は」を使って比較していますね。これを
うどんがすきだ。
とすると、そばのことは関係なく、とにかく「うどんがすき」という印象になりますね。
「が」は新しい情報、「は」は古い情報に使う
最後に「ももたろう」から有名な一文を一つ。
むかしむかし、あるところにおじいさんとおばあさん「が」いました。
おじいさん「は」芝刈りに、おばあさん「は」川にせんたくに行きました。
一文目で「おじいさんとおばあさん」という聞き手にとって新しい情報を「が」で表す一方、二文目ではすでに知っている情報となるので、おじいさんとおばあさんの行動をそれぞれ「は」で表しています。
結論「が」と「は」の使い分け
さて、ここまで「が」と「は」の違いについてみてきました。
まとめると、
1. 名詞文と形容詞文には「が」、動詞文には「は」を使う
2. 「が」は他のものを排除する働き、「は」には比較の働きがある
3. 「が」は新しい情報、「は」はすでに出てきた情報に使われる
まずはこの三つをベースにそれぞれの文章で考えてみてください。
参考:
ヒューマンアカデミー著「日本語教育能力検定試験 完全攻略ガイド第4版」2017年